日本百名山の歩き方: 幌尻岳・羊蹄山2座に登る

幌尻岳は日高山脈の中でも最も奥深い山域に位置しているため、登山口へのアクセスに時間を要する。登山口に一番近い山麓のバス停振内までは、札幌と苫小牧よりの高速バスが1日1便づつで路線バスの便も少ない。その幌尻岳とセットで登る山を考える場合、距離的に近い十勝岳とトムラウシが挙げられるが、相互間には便の良い公共交通機関はない。もっともタクシーを利用すれば可能であるが、それにはコストがかかりすぎる。よって空港からの幌尻岳へのアクセスは苫小牧側からと考えなければならず、札幌の西側に孤立して位置している羊蹄山がセットの候補となる。この2座の移動距離は200kmを超えるが、プラン通りに行動できれば、その距離感は気にならないであろう。なおレンタカーを利用する場合はトムラウシとのセットで登るのも良い。

羊蹄山への公共交通機関によるアクセスは、近隣にニセコという大きなリゾート地があり、山麓にJR函館本線も通っているため、比較的良い。一方、幌尻岳へのアクセスは、公共交通の便が少ない上、登山基地へはタクシーの利用が必須となる。更にここ数年の入山規制や車両規制強化により、タクシーを含めた一般車両は、2011年より前進基地となったとよぬか山荘までしか入れない。山荘から先は、町営のシャトルバスに乗り換えることとなる。ここでは、時間を有効利用した旅程を組みつつも、コストを抑えるため、特急列車での移動を避け、タクシーの利用距離も最小限に抑えたモデルケースを紹介している。幌尻岳へのアクセスについては、列車やバスを1本でも逃したり、タクシーの予約を忘れたりすると、プランがすべて崩れてしまうので、気をつけて行動したい。 [羊蹄山→ 幌尻岳]

旅程1日目

羽田空港より新千歳空港に到着。JR線快速エアポートで札幌へ向かい、札幌よりは都市間バスの高速ニセコ号でニセコ(本通り)まで行く。接続が悪い場合には、快速エアポートで小樽まで行き、小樽発のニセコバス小樽線やJR函館本線を利用する。ニセコ本通りからは道南バスを利用し、真狩口のある羊蹄山自然公園まで移動する。自然公園周辺に宿泊。

※7月半ばから9月半ばにかけて新千歳空港とニセコを直接結ぶバスが運行される。1日2便のみであるが、フライトの時間と合えばこれを利用すると良い。
※宿泊先は、真狩登山口まで歩ける距離の宿をおすすめする。自然公園内に羊蹄自然公園真狩キャンプ場がある。

旅程2日目

真狩登山口より真狩コースで羊蹄山を登る。下山は倶知安コースをとり、比羅夫口へ下りる。羊蹄登山口よりニセコバスか道南バスでニセコ(本通リ)へ向かう。ニセコ駅前温泉綺羅乃湯で入浴後、ニセコ本通りより高速ニセコ号(中央バス)で札幌へ向かう。札幌市内に宿泊。

※往路へ下山する場合、羊蹄自然公園より道南バスでニセコ(本通り)へ向かう。

※高速ニセコ号に間に合わない場合はJR函館本線を利用する。

旅程3日目

早朝、札幌よりJR快速エアポートと千歳線を乗り継ぎ、苫小牧へ向かう。苫小牧よりはJR日高本線に乗り換え、富川で下車。富川駅前より、9:23発の日高ターミナル行の道南バスに乗り、振内案内所まで行く。振内からはタクシーでとよぬか山荘へ向かう。山荘からは平取町営のシャトルバス最終便で、登山口である幌尻林道第一ゲートまで運んでもらう。ここからは歩いて幌尻山荘へ向かう。山荘に宿泊。

※9:23発富川駅前発の道南バスは日曜祝日は運休。日曜祝日の場合は、日高本線では富川手前の鵡川で下車する。鵡川駅前よりは9:39発の道南バスで平取入口まで行き、平取からはタクシーでとよぬか山荘へ向かうこととなる。

※バスで振内まで行けるとタクシー代が大幅に節約できる。その日のうちに幌尻山荘まで行きたい場合は日曜祝日をなるべく避けたい。

※タクシーやシャトルバスは、幌尻山荘の予約と併せて、必ず予約を入れる。

旅程4日目

幌尻山荘より幌尻岳登山。下山は往路を戻り、幌尻山荘から更に林道第一ゲートまで下る。シャトルバス最終便でとよぬか山荘へ運んでもらう。とよぬか山荘に宿泊。

※健脚者であれば戸蔦別岳経由で下山することをおすすめする。

※とよぬか山荘の予約は事前にしておく。山荘はシャワーのみで下山後の温泉入浴はできない。

旅程5日目

早朝、タクシーで振内へ。都市間バスの高速ひだか号で札幌へ向かう。札幌駅よりはJR快速エアポートで新千歳空港へ向かう。新千歳空港より帰京。

羽田⇄新千歳空港往復便・1泊5日という旅行代理店のツアーを利用するモデルケース。宿泊日を2日目、宿泊地を札幌としている。2日目の宿泊先を苫小牧に設定することができれば、3日目の幌尻岳へのアクセスが楽になる。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー交通機関情報
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JR快速エアポート

新千歳空港ー札幌間　　　　　　　　　　新千歳空港ー小樽間

最速36分　1040円　1日50便以上　　　最速72分　1740円　1日20便以上

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高速ニセコ号 (中央バス)
中央バス札幌駅前ターミナルー本通り間 (札幌⇄ホテルニセコいこいの村)
2時間44分　片道 1980円　往復 3640円　1日3往復　予約不要

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千歳・ニセコ線 (ニセコバス)

新千歳空港ー本通りーニセコ駅前間 (新千歳空港⇄ひらふウェルカムセンター)

2時間23分　片道 2400円　往復 4000円

7月中旬〜9月中旬運行　1日2往復　予約不要

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小樽線 (ニセコバス)

小樽駅前ー本通り間 (小樽⇄ニセコ駅前)

1時間51分　1390円　1日4往復 (倶知安駅前ーニセコ駅前間は1日5往復)

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倶知安ー留寿都間路線 (道南バス)

倶知安駅前ー羊蹄登山口ーニセコ本通ー羊蹄自然公園間 (倶知安⇄ルスツリゾート)

1日7往復 (日曜祝日は1日6往復)

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※本通り(=ニセコ本通)からニセコ駅までは徒歩約5分。ニセコバスのみニセコ駅前に入る。
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高速ひだか号 (道南バス)
札幌駅前ー振内間 (札幌⇄日高ターミナル)

2時間14分　????円　1日1往復　予約不要

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特急ひだか号 (道南バス)
苫小牧駅前ターミナルー振内間 (苫小牧⇄日高ターミナル)

1時間50分　????円　1日1往復　予約不要

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苫小牧・新千歳空港線 (道南バス)

新千歳空港ー苫小牧駅間 (新千歳空港⇄苫小牧)

1時間50分　600円　1日16往復

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平取町営シャトルバス

とよぬか山荘ー林道第一ゲート間

7/1〜9/30　往復 3500円 (片道半額)　約1時間　1日4往復

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新千歳空港レンタカー店　20店舗以上

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新千歳空港　　 JR北海道旅客鉄道

中央バス　　ニセコバス　　道南バス　　　　北都交通　　拓殖バス　　十勝バス

平取町営シャトルバス　　日高町営バス

羊蹄ハイヤー　　振内交通　　平取ハイヤー　　日高ハイヤー

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公共交通機関を利用するよりも、移動時間とコストも大幅に削れ、山旅の幅がはるかに広がる。ここでは短い旅程でのモデルケースを紹介しているが、旅程に余裕があれば、ニセコ温泉郷を巡ることができる。幌尻岳下山後の温泉入浴も可能となる。 [羊蹄山→ 幌尻岳]

旅程1日目

羽田空港より新千歳空港に到着。手配済みのレンタカーで羊蹄山山麓へ向かう。周辺の温泉に立ち寄り、山麓に宿泊。

※新千歳空港周辺には20社以上のレンタカー店がある。

※羊蹄山の西に位置するニセコアンヌプリ周辺には、五色温泉・湯本温泉・昆布温泉など、さまざまな泉質をもち、湯治場風情の残る温泉地が点在してる。

旅程2日目

山麓の宿泊先からは、比羅夫・真狩・京極・喜茂別の４つの登山口からの羊蹄山登山が可能である。下山は往路を戻り、周辺の温泉に入浴する。入浴後は幌尻岳登山のため、幌尻岳山麓の平取町へ移動する。平取町に宿泊。

※比羅夫登山口と真狩登山口からの2つのルートは、多くのガイドブックに紹介されていて、登山者も多い。山麓をはしる道南バスを利用し、この２つの登山ルートを入山と下山ルートにすることもおすすめする。

※3日目に利用する平取町営のシャトルバスの出発時間にあわせて、宿泊先を決める。平取町二風谷にある二風谷ファミリーランドにはリーズナブルな簡易宿泊施設、キャンプ場、温泉施設(びらとり温泉)などがある。

旅程3日目

2日目にとよぬか山荘以外に宿泊した場合は、宿泊先からとよぬか山荘へ向かう。山荘よりは町営シャトルバスで林道第1ゲートまで運んでもらう。ここからは歩いて幌尻山荘へ向かう。山荘に宿泊。

旅程4日目

幌尻山荘より幌尻岳登山。下山は往路を戻り、幌尻山荘から更に林道第1ゲートまで下る。シャトルバス最終便でとよぬか山荘へ運んでもらう。その後はレンタカーに乗換えて、山荘を出発し、びらとり温泉で入浴。入浴後は札幌市内へ向かい、宿泊。

※21:00閉店(大半は20:00閉店)のレンタカー店で車を借り、22:00以降のフライト予約の場合は、札幌市内に宿泊せずに、旅程4日目での帰京が可能となる。この場合は1泊付のツアープランの宿泊を放棄することとなる。

旅程5日目

札幌より新千歳空港へ向かう。レンタカーを返却し、新千歳空港より帰京。

羽田⇄新千歳空港往復便・1泊5日、レンタカー付という旅行代理店のツアーを利用するモデルケース。宿泊日を5日目、宿泊地を札幌としている。

旅程2日目にとよぬか山荘に宿泊し、シャトルバス第1便に乗車した場合、その日のうちに幌尻岳登山を終え、幌尻山荘へ戻ることが可能となる。その場合、旅程3日目は幌尻山荘から下山することとなり、林道第一ゲート発のシャトルバス第3便に乗ることができる。このケースも旅程4日目での帰京が可能となる。

レンタカーの利便性を生かし、2泊3日という短い旅程で約200km離れた2座を登ってしまうというたいへん効率的なモデルケースを紹介する。気力、体力はあるが、長い旅程が組めない方や、とりあえず2座の頂が踏めればよいと考える方への参考プランである。 [幌尻岳→ 羊蹄山]

旅程1日目

羽田空港より早朝便で新千歳空港に到着。手配済みのレンタカー(レンタカー店の大半は8:00オープン)で幌尻岳の登山基地とよぬか山荘へ向かう。山荘からは平取町営のシャトルバス最終便で、幌尻林道第一ゲートまで運んでもらう。ここからは歩いて幌尻山荘へ向かう。山荘に宿泊。

旅程2日目

幌尻山荘より幌尻岳登山。下山は往路を戻り、幌尻山荘から更に林道第一ゲートまで下る。シャトルバス最終便でとよぬか山荘へ運んでもらう。その後はレンタカーに乗り換えて山荘を出発し、びらとり温泉で入浴する。入浴後は羊蹄山山麓へ向かう。山麓に宿泊。

旅程3日目

山麓の宿泊先からは、比羅夫・真狩・京極・喜茂別の４つの登山口からの羊蹄山登山が可能である。下山は往路を戻り、周辺の温泉に入浴する。入浴後は新千歳空港へ向かう。レンタカーを返却し、新千歳空港より帰京。

羽田〜新千歳空港往復便・1泊3日、レンタカー付という旅行代理店のツアーを利用するモデルケース。宿泊先に羊蹄山山麓やニセコ温泉郷に設定できるツアー以外は宿泊を放棄をすることとなる。
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羊蹄山お役立ち情報

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倶知安町HP　　真狩村HP　　京極町HP

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羊蹄山参考宿泊施設

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まっかりユースホステル

羊蹄自然公園バス停から徒歩15分

宿泊費会員 3150円　まっかり温泉すぐそば

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B&B Goose Berry (グスベリ)