「日本百名山」より
弘前出身の作家石坂洋次郎や金木町(現五所川原市)生まれの太宰治の作品中の岩木山についての描写を紹介している。津軽地方では古くから岩木山を「お山」や「津軽富士」と呼び、尊び崇めていた様子が伝わってくる。さらに古くから伝わる「お山参詣」の行事についても詳しく説明をしている。
氏が岩木山に初めて登ったのは本書を書く35年前も前のことである。弘前から百沢までバスで入り、百沢からはトラックに便乗し、嶽温泉で一泊した。当時は電気も通ってない湯治場であったようだ。翌日は雨まじりの曇天の中、現在の嶽コースを登り、鳥ノ海から山頂に至っている。帰りは現在の百沢スキー場を歩き、岩木山神社のある百沢へ下りた。
氏は岩木山について、裾野を広く伸ばした堂々とした山容が見事であると述べている。さらには太宰の長編「津軽」での描写を綴り、「お山参詣」という行事が古くから伝えられている所以はその美しい姿にあると感じているようである。
弘前バスターミナルより嶽温泉乗り換えで、岩木山8合目までバスが運行されている。8合目からは標高1420m地点の鳥ノ海噴火口まではリフトが運行されている。これらを利用すれば、歩行距離が約1kmで30分程歩けば岩木山山頂に到達できる。実に岩木山登頂者の95%以上がこの手段(自家用車を含む)を利用しているといわれているが、これでは全く味気のない山旅となってしまう。ここでは日帰り登山ながら岩木山登山の醍醐味を存分に味わえるルートを紹介する。ここに紹介するルートの他、弥生コース、赤倉コースなどもあるが、交通の便と下山後の楽しみを考え、百沢コース→嶽コースというルートをおすすめする。
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