2012年10月22日月曜日

岩木山

青森県内最高峰の岩木山はその美しい円錐形の山容から「津軽富士」と呼ばれ、津軽地方の人々のかけがえのないシンボル的存在となっている。山頂部は外輪山の巌鬼山と鳥海山、中央火口丘の岩木山の三峰に分れ、山頂の岩木山には岩木山神社の奥宮が祀られている。古くから「お岩木山」や「お岩木様」などと呼ばれ親しまれ、山岳信仰の対象として崇められている。いまもなお旧暦の8月1日には「五穀豊穣」「家内安全」を祈願して集団登拝する行事「お山参詣」が行われている。火山起源の独立峰であるが、高山植物が豊富で6月下旬~8月初旬には東北を代表する名花、岩木山の特産種ミチノクコザクラが咲き、多くの登山客や津軽岩木スカイラインを利用してくる観光客がこの花を目当てにやってくる。山頂からの展望も良く、八甲田連峰、白神山地、津軽半島、更には北海道の松前崎までも見渡すことができる。山麓には様々な泉質の温泉が湧いており、登山口のあるに嶽地区と百沢地区には複数のホテルや旅館が立ち並び、温泉街の風情を味わうことができる。

「日本百名山」より

弘前出身の作家石坂洋次郎や金木町(現五所川原市)生まれの太宰治の作品中の岩木山についての描写を紹介している。津軽地方では古くから岩木山を「お山」や「津軽富士」と呼び、尊び崇めていた様子が伝わってくる。さらに古くから伝わる「お山参詣」の行事についても詳しく説明をしている。
氏が岩木山に初めて登ったのは本書を書く35年前も前のことである。弘前から百沢までバスで入り、百沢からはトラックに便乗し、嶽温泉で一泊した。当時は電気も通ってない湯治場であったようだ。翌日は雨まじりの曇天の中、現在の嶽コースを登り、鳥ノ海から山頂に至っている。帰りは現在の百沢スキー場を歩き、岩木山神社のある百沢へ下りた。
氏は岩木山について、裾野を広く伸ばした堂々とした山容が見事であると述べている。さらには太宰の長編「津軽」での描写を綴り、「お山参詣」という行事が古くから伝えられている所以はその美しい姿にあると感じているようである。

弘前バスターミナルより嶽温泉乗り換えで、岩木山8合目までバスが運行されている。8合目からは標高1420m地点の鳥ノ海噴火口まではリフトが運行されている。これらを利用すれば、歩行距離が約1kmで30分程歩けば岩木山山頂に到達できる。実に岩木山登頂者の95%以上がこの手段(自家用車を含む)を利用しているといわれているが、これでは全く味気のない山旅となってしまう。ここでは日帰り登山ながら岩木山登山の醍醐味を存分に味わえるルートを紹介する。ここに紹介するルートの他、弥生コース、赤倉コースなどもあるが、交通の便と下山後の楽しみを考え、百沢コース→嶽コースというルートをおすすめする。

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